台湾茶が飲みたくて
旅が好きで、20代の頃からヨーロッパや北欧などを中心に一人旅をしてきました。
ひとつの国に興味を持つとくり返し通いたくなって、ここ10年ほどはとにかく台湾をはじめとしたアジアの国々に夢中です。
気候や文化が重なりつつも、それぞれに特色があるところに惹かれています。
なかでも台湾は、訪れるほどにますます恋しくなる。
私の生活には台湾のものが欠かせなくて、そのためいつも食材から日用品までありとあらゆるものを持ち帰っています。
航空券を取るときは、日程の次にどれだけ荷物を預けられるかが判断基準になるくらい。スーツケースを二個持っていくこともしょっちゅうです。
この連載では、約10年かけて厳選した、定番の台湾土産をご紹介します。
9回目は、台湾茶について。
台湾のお茶の魅力(というか魔力?)に、どっぷりハマっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
香り高いお茶をゆっくり味わっていると、日常のあれこれが一瞬だけ彼方へと飛んでいって、呼吸が深くなり、気持ちも落ち着きます。
この一年半、家にこもっていて閉塞感を感じたり、不安になった時など、何度となくお茶に助けられました。
ちょっと気分を変えたくなったら、お茶をいれる準備をします。
茶器を温めて、その間にこれから飲む茶葉を選び、一つ一つの手順を確認しながらお茶をいれる。
どれだけお茶をいれたでしょう。
少しはお茶をいれるのが上手になっているといいなと思います。
台湾では、お茶屋さん巡りのコースが決まっていて、
まず永康街の「沁園」で凍頂烏龍茶と日月潭紅茶、凍頂茶梅を手に入れて、
そのまま迪化街へ移動しがてら「徳興茶行」で梨山茶Bを、
「林華泰茶行」にも立ち寄って、
そして迪化街や中山のMAJIでドライフルーツなどを買い求めています。
「沁園」は、それこそ初台湾の頃から毎回必ず訪れている有名店。
凍頂烏龍茶は観光客定番のお土産です。
茶梅は実がふっくら肉厚で甘さの加減もちょうどよく、こちらのものが一番好き。
そして、雑味がなく清らかな飲み口の台湾紅茶に開眼したのも、このお店がきっかけです。
一年中いつ行っても質の安定した茶葉が手に入るため、自分のために、そしてお土産に、いつもどっさり買い込んでいます。
「徳興茶行」は、ずっと以前から台湾に通ってくまなく歩きまわっている、“旅の先輩”に教えていただいたお店です。
茶葉の種類はほんの少しですが、ゆっくり試飲させていただけるのがいい。
料理研究家や食関係の方などにも信頼されている、隠れた名店です。
ワンランク上のAではなく、Bグレードでもとびきり美味しいですよ。
そして、帰国直前の空港では「王徳傳茶荘」のショップに立ち寄ります。
ここの翠玉安尚烏龍は、台茶13号という品種を通常の倍ほどの時間をかけて発酵させた、こっくり深みのあるお茶。
化学肥料や農薬を使わない自然農法で、手をかけて作られています。
*王徳傳はすべての種類ではないようですが、Amazonなどでも購入可能。
日本橋の誠品生活内にもショップがあります。
そしておまけにもうひとつ。
中秋節に台湾の友人が送ってくれたのは、新北市にある「老順香」のパイナップルケーキ。
150年以上の歴史がある店のパイナップルケーキは、平たい小判型。
あっさりめの生地とパイナップル100%の餡のバランスが良く、軽くていくつでも食べられる。
保存料などが入っていないので、安心です。
次回台湾へ行かれる際には、このちょっとレアなパイナップルケーキも、ぜひ食べてみてくださいね。