台湾のうつわを取り入れる

Our Favorite City ニッポン × タイワン オンガクカクメイ

2021/07/15 19:00

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旅が好きで、20代の頃からヨーロッパや北欧などを中心に一人旅をしてきました。


ひとつの国に興味を持つとくり返し通いたくなって、ここ10年ほどはとにかく台湾をはじめとしたアジアの国々に夢中です。

気候や文化が重なりつつも、それぞれに特色があるところに惹かれています。



なかでも台湾は、訪れるほどにますます恋しくなる。



私の生活には台湾のものが欠かせなくて、そのためいつも食材から日用品までありとあらゆるものを持ち帰っています。

航空券を取るときは、日程の次にどれだけ荷物を預けられるかが判断基準になるくらい。スーツケースを二個持っていくこともしょっちゅうです。



この連載では、約10年かけて厳選した、定番の台湾土産をご紹介します。

5回目は、台湾各地でじっくり探した、うつわについて。





国内外、どの国や街へ行っても探してしまうもの。

それがうつわです。


持ち帰るのが大変だとわかっていても、一期一会ということもあって、どうしても諦められない。


でも、そのおかげで旅から戻ってきて家でうつわを使うたびに、思い出がよみがえって、

しあわせな気持ちに包まれます。






大胆に海老が描かれた楕円皿は、お客様がいらしたときに使うものだと聞きました。


お金持ちの家庭で用いられたそうで、ほかに魚の柄もあります。

私が持っているのは小ぶりですが、長辺が40センチほどの大皿もあって、

大人数で食卓を囲む国民性がうつわにもあらわれています。






高雄の看板のない食器屋さんで、手を真っ黒にして掘り出した、花柄の楕円皿。


時が止まったようなお店で、デッドストックのうつわが店内に溢れていました。


乙女な花柄のうつわをはじめ、東欧っぽいキッチュな色使いのものも。

このお皿には青菜炒めなど、素朴な野菜料理を盛りつけています。






台湾の食堂などで使われている、おなじみのピンクの花柄シリーズは、

残念ながら年々手に入りにくくなっています。


その国の食文化を象徴するようなうつわでも、時代の流れとともに、ある時突然なくなってしまう。

香港やほかの国でも、そのような場面に何度も立ち合いました。


だから、もしもこのピンクの花柄のうつわをお持ちだったり、今後見つけたら、大切にしてあげてくださいね。

※ちなみに今は、お花の色が赤っぽく変わりました。






私がいちばん好きなのは、この燈籠柄です。


燈籠には「囍(ダブルハピネス)」というおめでたい文字が描かれて、縁には「福」の文字も。

なんともほのぼのとした、台湾らしい絵柄です。


複数のメーカーで作られているのか、はたまた製造年の違いなのか、生地の厚みや釉薬、絵柄の色なども含め、バリエーション多数。

深皿は台中・西螺の醤油会社へ行った際に、西螺老街で見つけたもの。

小碗は台北に住む古いものが好きな友達がひとつだけ譲ってくれて、小皿はたしか台北の骨董屋さんで出合いました。


※ちなみに、小皿の左側のモチーフは、ベトナムの古いソンベ焼でも同じものが用いられていました。






デッドストックやアンティークは、どれも何年もかけて足で探しています。


宝探し自体を楽しんでいるので、法外な価格設定のものは買わない、食器として気分よく使えるコンディションならOKなど、自分内ルールをいくつも設けています。

そして、どんなに興奮していても、「このうつわは自分ならどう使うかな?」と、熟考して手に入れています。



毎日の暮らしに台湾があるって、とっても素敵です!









柳沢小実

エッセイスト
衣・食・住・旅・台湾にまつわる著書多数。 最新刊は読売新聞連載をまとめた「おうち時間のつくり方」(だいわ文庫)
 Instagram @tokyo_taipei



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