「プラスティック・ラブ」とインターネットの進化

Our Favorite City ニッポン × タイワン オンガクカクメイ

2021/07/06 19:00

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日本のみならず、台湾を始めアジア圏で起こっているシティ・ポップブーム。


インターネットやSNSなどの発展により、ほぼ同時に流行したことで、大きなうねりとなっているように思います。

今回は、台湾でのシティ・ポップと、インターネットの発展によるアーティストの活動について考えてみました。



アジアで巻き起こった「プラスティック・ラブ」旋風


2017年頃のことですが、レコード屋さんの店長が、

アジア圏で竹内まりやの「プラスティック・ラブ」がとても流行していて、どのクラブでもDJがプレイしていると教えてくれました。


さらに、アジア圏は“プラスティック・ラブ=シティ・ポップ”という状況で、

日本に来る音楽マニアがアナログ盤を買い求め、プレミアが付き始めていると言うことでした。


当時のアジア圏での“プラスティック・ラブ旋風”には、韓国人DJのNight Tempo 夜韻が、大きく貢献していることは間違いありません。

彼は、竹内まりやだけではなく、杏里、Winkなど多くの日本人アーティストの楽曲を再構築してフューチャー・ファンクというジャンルを切り拓いています。



台湾での牽引役、9m88 という存在


多くのアーティストが、「プラスティック・ラブ」をカバーしていますが、台湾での代表的なカバー作品は9m88(ジョウエムバーバー)のものかと思います。


「Plastic Love  Cover Version (Original Song by Mariya Takeuchi)」9m88




9m88は、台湾のR&Bシンガーで、昨年の第31回金曲奨では、最佳新人獎 (新人賞)にもノミネートされました。


今年3月に開催された、台湾屈指の音楽フェス大港開唱(Megaport Music Festival)出演や、

泰山企業という老舗食品メーカーのアーモンドミルクのCMに出演し楽曲を書き下ろすなど、幅広く活躍しています。


楽曲ももちろんですが、彼女の魅力はファッション

ニューヨークへのファッション留学の経験を活かし、MVの衣装などは自分で考えているそうです。


9m88は、人気ラッパーのLEO王や、台湾のレジェンド的バンド、糯米糰(Sticky Rice)のボーカル馬念先など、台湾でも注目度の高いアーティストと一緒に楽曲を発表することが多く、

そのことからも彼女自身が台湾の注目株であることが分かります。


「怪天氣 Strange Weather」YELLOW黃宣 & 9m88



台湾のミクスチャーバンドYELLOWの黃宣とのコラボ。

黃宣は、2021年発表の第32回金曲奨で、最佳單曲製作人獎 (シングルプロデューサー賞)に、この曲でノミネートされています。



インターネットは音楽の縁結びツール


竹内まりやの他にも、山下達郎、角松敏生など日本のシティポップを支えたアーティストの音楽を聴いたり、影響を受けたりした台湾の若手アーティストは数多くいます。


ただ、その傾向は、日本も含め世界でほぼ同時に起こっているように感じます。

少し前でしたら、日本での流行が、しばらくして他のアジア圏に波及するような流れでしたが、今はほぼリアルタイム


こういったことが出来たのは、インターネットの存在が大きいと感じています。


40年以上前の音楽を見つけ、それに影響された楽曲をアップし、世界中の人との交流することで、ムーブメントが巻き起こる。

また、国を越えての楽曲制作やプロモーションが、以前に比べると容易になっているように感じます。


「Horoyoi Karasu」THREE1989 feat. LINION



台湾のネオソウルシンガー LINION と、日本のシティ・ポップ3ピースバンドTHREE1989のコラボ楽曲。

2020年リリースで、LINIONがTHREE1989の台湾公演に来たことがキッカケで制作された楽曲。



「6000℃」UQiYO & I Mean Us


台湾のドリームポップバンド、I Mean Us と日本の音楽ユニット・プロジェクトUQiYO(ウキヨ)のコラボ作品。




台湾のシティポップが今日も生まれている


90年代からゼロ年代は、日本のヒット曲を台湾の人気アーティストがカヴァーして、

それと共に、原曲を歌う日本人アーティストも人気になることがありました。


また台湾では、哈日族(ハーリージュー)と呼ばれる、日本のポップカルチャーが大好きな若者が日本の音楽、特にメジャーシーンを盛り上げていたように感じます。

台湾の空港で日本人アーティストが熱烈に歓迎されている様子が、日本のテレビで報じられていたのを私も覚えています。


もちろん当時から、日本にも台湾にもインディーの素晴らしいアーティストはいましたが、

その情報を得るにはかなりの努力が必要だったと思います。


それから時は流れ、インターネットを経由してアーティスト同士が繋がり、

そこから新たな楽曲やムーブメントが作り上げられるようになりました。


私は、いわゆるアラフォー世代なのですが、

友人の中には、90年代からゼロ年代の空港での熱烈歓迎や、昭和歌謡曲のイメージのまま台湾音楽を捉えている人もいるなと感じています。

もちろんそれは、当時のファンの熱量や歌手が素晴らしいからこそ、今も印象に残っているかと思いますが、

それにプラスして今の音楽シーンも知ってもらいたいと願っています。



シティ・ポップが日本で生まれて40年以上が経過し、日本だけではなく台湾の‟シティ“を感じられる曲が多数登場しています。


ぜひ、聴いてみて下さい。








石井由紀子(いしいゆきこ)

ラジオパーソナリティ、ナレーター。
無類の音楽好きで、国内外問わず様々な音楽を聴く。台湾人の友人と一緒に仕事をしたことを機に、台湾音楽の魅力に惹きこまれ、もっと深く知るために日々勉強中。ミュージックソムリエの資格を持つ。

 Twitter @YukikoIshii928


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