大比良瑞希×鄭宜農(Enno Cheng) 日台スペシャル対談 【後編】
Our Favorite City、スペシャル対談の第6弾。
前回に引き続き、大比良瑞希と鄭宜農(チェン・イーノン)の対談をお届けします。
取材・文 / 行 達也
─── 大比良さんにとってもギターって身近にあるモノだと思うんですけれども、
自分の音楽を表現する中で、どういうポジションですか?
大比良瑞希 盾です。
ギターを始めたのは中学1年生、13歳くらいの時だったんですけど。
当時より今にかけて、どんどん好きになってきて、いつの間にパートナーみたいな感じになってきて。
ギターがいてくれると怖くない、みたいな感覚はありますね。
鄭宜農(Enno Cheng) 大比良さんの曲を聴いた時、自分よりぜんぜんギターが上手だなと思いました。
おそらく長い時間をかけて練習してきたんじゃないでしょうか?
大比良さんにとって、ギターが"盾"ということは、
自分自身が弱くて、ギターはそれを守ってくれる、というイメージですか?
大比良瑞希 そうですね、それもそうだし、より自分が強くなれる気がする、というか、
元々自分はバンドをやっていたんですけれども、ソロの時期でもギターを抱えると音楽の楽しさを思い出させてくれる。
ハンドマイクで歌う時もありますが、ギターを持っている時の方が落ち着く、
自分を強くしてくれる、という意味での盾だと思っています。
─── あと、大比良さんはギターいっぱい持ってる(笑)
大比良瑞希 好きなので(笑)
新しいギターに出会えちゃったかも!という瞬間は代え難い高揚感に包まれて、何より幸せな気分になります。
ギターによってできる曲も変わってくる気がするし、ギターが新しい景色を見せてくれると信じています
鄭宜農 インスタグラムで見ました(笑)
─── 話は変わりますが、7月24日にイーノンさんがオンラインのコンサートをやった時に、
お客さんがイヤホンを使って聴くように、というようなコンセプトでやったそうなんですけど、
スピーカーではなくて、イヤホンで、というこだわりは何だったんですか?
深深地(完人Tour Live)
鄭宜農 私は、人にはテレパシーがある、ということを信じていて、言葉ではなく感覚で感じること、感受性をすごく大事にしています。
日本の文化にもおそらくそういう面があると思っていて、私が日本の文化が好きなのも、そのせいかと思います。
なので、リスナーの皆さんが、私の音楽を通して、鳥肌が立ったり、違う時空に行ったりとか、そういう感覚を味わって欲しいと思いました。
それから、リスナーの皆さんに、この時間はあなた一人ではなくて、みんなで空間を共有している、
ということを教えてあげたいと思って、それを伝えるのにイヤホンが良いと思いました。
今回のツアーのプロデューサーがファンの皆さんに、音楽に集中して欲しいという思いがあったことも理由の一つです。
─── それはスピーカーじゃなくてイヤホンの方がより伝わるということですか?
鄭宜農 はい、そうです。
今回のライブではサラウンドの効果が出る仕掛けを仕込んでいて、
音が左に行ったり右に行ったり、後ろに行ったりとか、そういう仕掛けなので、
イヤホンだと立体的に聴こえるんです。
─── イヤホン自体もスペシャルなんですか?
鄭宜農 今回は、iPhoneのAirPodを通して聞こえるようにデザインしました。
─── お客さんの反応はどうでしたか?
鄭宜農 今回は、収録済みの映像を配信するライブだったので、配信されてる時に、
ファンの皆さんの反応を、コメントを通してリアルタイムで見ていたのですが、
そういう仕掛けが放たれた瞬間にファンからびっくりマークがたくさんコメントされてたり、
ワオッ!っていうコメントをもらえて、サプライズが実現できて、達成感がありました。
─── それは楽しそうですね!
普通にライブをやるのではなくて、新しいことをどんどんやりたいってことですね?
鄭宜農 そうですね、毎回、作品やライブで新しい試みがないといけない、というプレッシャーをかけてきました。
いつかネタがなくなるのを心配していますが、今後もそういうデジタルの技術を使いながら、新しいことをやりたいと思っています。
─── 大比良さんは次回のライブで曲に合わせてリアルタイムで映像を入れるそうですが、
そういう工夫もイーノンさんのアイデアと通じるところがあるなと思いました。
大比良さんは、なぜ映像を入れようと思ったんですか?
大比良瑞希 映像とライブの組み合わせは、これまで他の人たちもよくやっていることですが、私はまだやれていなくて、ずっとやってみたいなと元々思っていました。
その時に、実験的に始めてみたいところもあり、今回はまずファンクラブ会員限定のライブで、実現してみました。
今までだったら、まず他のバンドメンバー誰にしよう?といった部分を考えることが多かったのですが、
最近私のタームとして、基本軸を1人エレキの弾き語りとし、そこにどんな演出を加えることでより世界観を作っていけるか、
日常に溶け込みながらどう非日常にしていけるか、という可能性を考えてみたかったので、
映像アーティストの方と曲に合わせて映像を作っていく、というプランにしました。
大比良瑞希 | "The LIVE-HOUSE" No.001 by JOHNNIE WALKER
生まれも音楽的な背景もまったく別な二人ですが、音楽と向き合う姿勢や探究心には共通する何かを感じ取ることができました。
この二人でコラボレート作品が生まれるとしたら、きっと何か目新しいモノができそうで期待しちゃいます。
実現するといいなぁ〜
YouTubeチャンネル「SAYULOG」では、2組のスペシャルトークを動画でお届け!
ぜひチェックしてください!
■ 大比良瑞希
東京出身のシンガーソングライター。
2015年、ミニアルバム「LIP NOISE」のリリースでソロ活動をスタート。
クールネスとパッショネイトが交錯するスモーキーな歌声と、エレキギターを爪引きながら歌うスタイルは、明るくも物憂げな唯一無二の世界観を醸し出し、ソウルフルかつオルタナティヴにな新時代のシティ・ポップを紡ぐサブスクリプション・ストリーミング時代を体現する次世代型シンガーソングライターとして注目を集めている。
Bitfanにてファンコミュニティーサイト"mimitometo"を開設、日々会員向けの限定コンテンツも更新中。
歌手、女優、作家など多岐にわたって活動。
『海王星』『Pluto』『天王星へ』など、個人として数々のアルバムをリリースした他、バンド「Chocolate Tiger」として活動しながら、大象體操(ELEPHANT GYM)と落日飛車(Sunset Rollercoaster)のメンバーと「Felix Felicis(小福氣)」というバンドを結成し、他のアーティスト共も精力的にコラボレーションを重ねている。
アメリカ、中国、香港、マレーシアを回る世界ツアーを開催したり、海外の音楽フェスにも多数出演し、今年はアメリカのSXSWで山々に囲まれた中でのパフォーマンスで海外から注目を集めた。
行 達也
株式会社SKIYAKI、 Our Favorite City 編集スタッフ
台湾インディーズは初心者ですが、夜市には行ったことあります。もっと食べたいです。