TOTALFAT×滅火器(Fire EX.) 日台スペシャル対談 【前編】
今回の日台スペシャル対談は台湾から滅火器(Fire EX.)、日本からはTOTALFATをお迎えしてお送りします。
実は、これまでスペシャル対談に出ていただいたアーティストのみなさんは、
お互いの存在を認識こそしていたけど、初対面というパターンがほとんどでした。
今回は同じイベントに出演したり、お互いのライヴに足を運んだりと、
すでに同志と言って過言でないほど仲が良い2組で、
間に入って話を聞く我々がちょっと所在無いぐらい通じ合っておりました(笑)。
コロナで渡航が出来なくなったので、今回、オンラインですが久々の再会となりました。
取材・文 / 行 達也
── Fire EX.との最初の出会いとその時の印象を聞かせてください。。
Shun(TOTALFAT) 川崎さんっていう自分の先輩から「見せたいバンドがいる」「絶対、仲良くなれるから!」って言われて、彼らが渋谷クアトロにライヴしに来てた時に観に行ったんですけど、
そもそも台湾のバンドとか観たことなかったし、聞くところによると同世代だし、音楽がどうこうっていうよりもどういうパッションでやってるのかっていうところに興味があったんですね。
で、そこをめちゃめちゃ喰らったんです。
きっとオレらみたいなバンドなんだろうな、っていうのは1回観ただけでわかって。
終わってから、楽屋挨拶とかも行かせてもらって、
そのあとスタジオでメンバーに
「Fire EX.観てきたけどマジ、ヤバいよ!絶対仲良くなれるから台湾行こうぜ!」
って話したんですよ。
TOTALFAT。 左からJose、Shun、Bunta。
Bunta(TOTALFAT) ウチらは最初は台湾に行った時かも
Jose(TOTALFAT) そうだね、オレらが最初に会ったのはBIGMAMAと台湾にライヴに行った時に彼らが観に来てくれたんだよね。
Shun 野球のユニフォーム着て、観に来てたんだよ確か
Bunta そうそう、野球の練習だか試合だかの後にそのままの格好で来てたんだよね(笑)
Shun もうグローブとかバットとか持って!(笑)
Bunta 殴り込みに来たのかと(笑)
Fire EX.(全員) (爆笑)
滅火器(Fire EX.)。 上段左からSam、ORio、下段左からKG、JC。
Shun でも、その時もサムとゆっくり話す時間があって、その時にお互いのキャリアとかについて話したりして。
そしたらバンドの生い立ちがオレらとすごく似ていて、そこで「一緒に演りたいね!」っていう話になったんですよ
── 彼らとのコミュニケーションは英語ですか?
Shun そうですね、そんなに不自由なこともなく...
おそらくお互いの英語のレベルも近いので、ちょうどいいのかもしれません(笑)
── Fire EX.はその時のことを覚えてますか?
Sam(Fire EX.) 覚えてます。
そしてShunに最初に会ったのは確かに渋谷クアトロでした。
ライヴが終わってShunと楽屋で話をして、すごく気が合うだろうなって感じました。
それがきっかけで日本でライヴやる時は必ずShunを誘って観に来てもらってます。
下北沢では一緒に飲みに行きましたね。
そうやって何回か会ってるうちに友達になれた気がします。
さっきShunが言っていましたが、同世代で、どちらのバンドも学校のクラスメイトと組んでいたり、同じ年にデビューしていたこともあって、妙に親近感が沸いたんですよね。
── TOTALFATのライヴを観た感想は?
ORio(Fire EX.) 情熱的でしたね
Sam 本当に素晴らしいパフォーマンスでしたね
KG(Fire EX.) 強かったですね(笑)
(※スタッフ注:台湾では「すごい」の最上級が「強い」だそうです)
Shun 強いって言われるのは嬉しいですね、なんか(笑)
TOTALFAT with GOOD4NOTHING, HOTSQUALL, locofrank -Better Luck-
── そこからいろいろ交流が始まった感じですか?
Shun はい、TOTALFATの国内のツアーに彼らを呼んだんですよ。冬のツアーだったんですけど。
関東2ヶ所を一緒にやったのですが、僕らのお客さんで満員の会場(要するにアウェイな状況)でFire EX.が全力のパフォーマンスを見せてくれて、
ちゃんと自分たちの思いだとかを伝えて、しっかり爪痕を残して行ったんですよ。
Bunta そう、ちゃんとポケット翻訳機を持って来ていて、それをマイクのとこにかざして(笑)
Sam はははっ!
Shun もう、とにかくどんなことをしてでも自分たちの思いを伝えるっていう徹底ぶりがカッコいいなと思ったのと、
その日、雪が降ったんですが、ウチらのバンドは別に雪とかどうでもいいから、さっさとホテルに帰ったんですけど
彼らだけずーっと雪で遊んでて(笑)もう「雪だ!やった!」みたいな感じで(笑)
── そっか台湾は雪が降らないですもんね(笑)
Jose すごいはしゃいでましたよ(笑)
ORio あんなに雪を見たのは初めてだったんです!
KG そうそう
── 滅多に見れないですもんね!
Sam 台湾で雪が積もるとしたら、本当に山奥ぐらいで、
仮に積もったとしても薄っすらだったりするから喜び勇んで見に行ったところで着く頃には溶けてたりとか(笑)
Shun 確かにあの時は相当積もったけど、それにしても子供よりはしゃいでましたよ(笑)
Sam あの時が別に初めてだったワケじゃないけど、雪は何回見てもテンションが上がります(笑)
滅火器 Fire EX. - 高雄驛起飛
── Fire EX.って日本語の歌詞だったり、テロップで日本語訳の字幕を入れたりだとか、日本への愛情を感じて嬉しいんですけど、いつから日本のことが気になり出したのでしょうか?
Sam 最初に日本に行ったのは2012年のサマソニに出演した時なんですが、前日に下北沢のライヴハウスでライヴをやったんですね。
その時に共演したlocofrankとかに良くしてもらって、それから日本のバンドと交流する機会が増えていったと思います。
2016年に新しいアルバムを発売したタイミングで東北の震災地でミュージックビデオの撮影をしました。
そのときに初めて日本語の字幕を入れたことがきっかけになって、自分たちの歌の歌詞を理解して欲しいっていう思いが強くなったんですね。
それからは、日本ver.のCDを出したり、日本のアーティストを誘って自分たちの楽曲に参加してもらう様な企画を積極的にやるようになって行ったんですね。
今になっては、2016年は自分たちにとってもターニングポイントだったんだな、と思います。
滅火器 Fire EX. -繼續向前行 Keep On Going
── じゃあ、やっぱり日本っていう国に興味を持つきっかけも音楽を通してってことだったんですね。
Sam いや、そこは音楽じゃなくてお酒ですね、飲み会(笑)
TOTALFAT(全員) 笑
Shun オレが知っている範囲で補足すると、サムと話してて、オレらと同じようにAIR JAM世代って言われるHUSKING BEEとかHi-StandardとかBRAHMANとか、そういう日本のパンクバンドに海を越えてFire EX.のメンバーが影響を受けて育ってきたっていうのは聞いていました。
偶然が重なって日本に来るようになって、日本語で歌うっていうところに至ったかもしれないけど、
おそらく偶然がなかったとしてもFire EX. というバンドは日本でライヴをやったり、
テロップを入れたりっていうことは必然的にDNAとしてやってたんじゃないかなあとオレは思います。
Fire EX. 滅火器 "残像モーション feat.磯部正文" (Official Music Video)
JC(Fire Ex.) すごく上手くまとめてくれました(笑)
Shun 超わかってるから。Fire EX.わかってるから(笑)
HUSKING BEEの磯部さんが彼らの日本語訳をサポートしたり、それをサムが一緒に歌うっていうのは彼らにとってはものすごいことで、
作品やライヴを通してそういうのを叶えて日本に来ているっていうのは、すごくリスペクトしてます。
Sam ありがとう!
Shun まかしといて!(笑)
Sam がんばります!(笑)
という感じで前半はここまで。
さすがに通じ合ってるだけにお互い終始にこやかな表情でおどけてましたが、
ちゃんとリスペクトしている気持ちは言葉の端々から伝わってきました。
次回さらにディープなゾーンに話題が展開しますのでお楽しみに!!
YouTubeチャンネル「SAYULOG」では、2組のスペシャルトークを動画でお届け!
ぜひチェックしてください!
■ TOTALFAT
2000年結成、初ライブを敢行。
Jose(Vo/Gt)、Shun(Vo/Ba)、Bunta(Dr)からなるスリーピースバンド。
自他共に認める日本メロコア界きっての陽気でポジティブなキャラクター、通称”陽キャ”であると自負するメンバーの人間性から溢れる、
聴いた人全てを仲間に巻き込むパワフルでポジティブな楽曲を武器に、国内外問わず幅広い客層から多数の支持を得ている。
■ 滅火器(Fire EX.)
ボーカル・ギターのSam(楊大正)、ギターのORio(鄭宇辰)、ベースのJC(陳敬元)、ドラムのKG(柯志勛)からなる、
台湾南部・高雄出身の台湾パンクシーンを代表する4ピースバンド。
Hi-Standard、HUSKING BEEら日本のメロディックパンクのエッセンスをベースに、
台湾語を混ぜた詩情ある歌詞と激しいステージングで有名。
2020年12月には、バンド結成20年の節目に日本独自企画の記念アルバム『Unsung Heroes』をリリース。
台湾・日本のみならず、アメリカ、韓国、中国、シンガポールなど、海外でも積極的に活動している。
行 達也
株式会社SKIYAKI、 Our Favorite City 編集スタッフ
台湾インディーズは初心者ですが、夜市には行ったことあります。もっと食べたいです。