TWEEDEES×ゲシュタルト乙女 日台スペシャル対談 【後編】
前編ではお互いのルーツについて語り合ってもらったTWEEDEES×ゲシュタルト乙女の日台音楽談義。
図らずもお互い好奇心の高いモノ同士で、想定していた内容より話はさらに深いゾーンに突入していったのだが、その結末は…
取材・文 / 行 達也
沖井(TWEEDEES) Mikanさんが日本語の歌詞を書いて日本語で歌われているじゃないですか。
その日本語へのこだわりが気になりました。
例えば中国語や英語でも歌えるワケですよね?そこを敢えて日本語で、というのが。
Kaiaki(ゲシュタルト乙女) そもそも中国語や台湾語は日本語の文法と全然ちがっていて。
例えば、日本語で「ギターを弾きます」って表現するとき、動詞が後に来ますよね?
中国語や台湾語は英語と同じで、先に動詞が来るから、最初のワンフレーズでこの人が何を言いたいのかっていうのが、だいたい分かるんです。
逆に日本語は、最後まで聴かないと、何を言いたいのか分からない。その点が自分にとって日本語の興味深い点ですね。
あと発音がぜんぜん違いますよね。僕には日本語の発音がフランス語のように聴こえるんです。
とても綺麗に聴こえるので、与える印象が違ってくる。そういうメリットがあると感じています。
Mikan(ゲシュタルト乙女) 日本語の響きそのものが好きなんですが、日本語で歌詞を書くきっかけは、友人に歌詞を読まれるのが恥ずかしかったからです。
もちろん中国語で歌詞を書くこともありますが、自分の感情が丸見えなのはどうしても抵抗があって。
大人になって気がついたのは、中国語の方が感情を伝えるのに直接的なのに対して、日本語の方が自分の性格に合ってる気がします。
例えば「会いたい」という表現一つ取っても、中国語より日本語の方が感情を抑えた控えめな言い方ができるな、と感じています。
だから日本語で歌詞を書く方が楽というか、相性が良いんですね。
── とても借り物の言葉で歌っているようには聴こえないです。
沖井 日本語の発音が綺麗!
Mikan ありがとうございます(笑)
沖井 僕は昔、Cymbalsというバンドをやっていたのですが、そのバンドの時、自分が歌詞を書いていて、全部英語でした。
さっきMikanさんが言っていた理由が、まるで自分の話を聞いてるみたいで驚いたのですが、
僕の場合だと日本語が直接的すぎて、英語はもうちょっと遠回りできるとか、メロディーの中で英語の方が音節で多く単語を入れやすいっていうのが理由として大きかったです。
たぶん僕は歌詞の中で多くのことを言いたかったんだろうなと思います。
おしゃべりだから(笑)。
── 知ってます(笑)
沖井 あと、今まで聴いてきた音楽が英語の曲だったから、自分が作るメロディーに英語を乗せやすかったと思うんですね。
Kaiaki ってことは僕たち結構似てるところがあるんですね(笑)
全員 (笑)
── この2組は、曲調は全く違いますが、近いとこはあるかもしれないですね。
自分の印象だとゲシュタルト乙女はマイナー調の曲が多いし、TWEEDEESの方は反対にメジャー調の明るい曲の方が多い。
TWEEDEES「君は素敵」
Kaiaki Mikanはメジャー調の方が好きなんです。
── あ、そうなんですね?
Kaiaki 僕らの楽曲は、サウンド的にマイナー調のモノが多いです。
ただ、歌詞の気持ち的な部分としては明るいメジャー調なんです。
曲調がマイナーで歌詞がメジャーだと不釣り合いな感じがしてしまうかもしれませんが、例えば人って失恋したらマイナー調の曲を聴きたくなりますよね?
ゲシュタルト乙女が伝えたい世界観に『普段の日常生活』というのがあって、
そうやって辛いことがあったとしても前を向いて歩いていこうね、という気持ちがあるから、そこはメジャーなんですよね。
「生まれ変わったら」という曲が正にそういう曲です。
ゲシュタルト乙女「生まれ変わったら」
── Mikanさん、Kaiakiさんが言ってることは間違いないですか?
Mikan そうですね(笑)
沖井 明るいっというか、ポジティヴなんでしょうね、きっと。
どメジャーなキーではないんだけど、歌詞の内容もそうだし、
全体を通してポジティヴなことを伝えようとしているんだなあ、というムードは音にも出ているし、そこは僕もよくわかります。
Mikan 『Nice to 密 you.』のEPは、ちょうどコロナ禍に作らせてもらったのですが、大変な目に合った人たちの心の支えになればいいなという思いを込めています。
タイトルに「密」という言葉を入れて、悲しんでいる人に寄り添う曲になればと。
沖井 それは伝わりました。
Mikan ありがとうございます(笑)
沖井 僕らも同じようにミュージシャンとして、どういう発信をしていけばいいか考えるけど、まだ直接的な行動に出れていなくて。
悩んだりしていることもあるんですが、そんな中でああいう曲(『Nice to 密 you.』)を聴かせてもらって、僕もがんばろうって思いました。
Mikan 嬉しいです。
Kaiaki 僕も嬉しいです(笑)
── 台湾はコロナの感染対策に関して、結構抑えられている印象なのですが、現状はどうでしょうか?(※5月14日現在)
Mikan 最近はまたちょっと増えてきてしまっているんですよね…ここ数日、1日で30人ぐらいのペースになってきて。
それで今週の日曜に予定していた我々のライヴも延期になってしまいました。
── え、たったの30人なのに?
でも、まあ感染をちゃんと抑えようっていう意思ってそういうことですよね。
清浦(TWEEDEES) 徹底していますよね。
沖井 でもまたコロナが落ち着いたら来日しますよね?それまで、頑張ってください!
Mikan 一緒にがんばりましょう!
沖井 ですね!
今回、双方のタイミングの都合もあり、かなり限られた時間での対談になってしまった。
本来なら、お互いもっと話したいところだったが、それはまた渡航制限が解除されたタイミングで、次は対面形式で続きを聞かせていただくということで!
YouTubeチャンネル「SAYULOG」では、2組のスペシャルトークを動画でお届け!
ぜひチェックしてください!
■ TWEEDEES
2015年結成。
清浦夏実と沖井礼二(ex-Cymbals)によるポップ・グループ。
幅広いファンから高い支持を得る音楽性やファッション性、フレンドリーなキャラクターで臨むステージングのライブにも定評がある。
Bitfanにてファンコミュニティーサイト「TWEEDEES CLUB」を開設、日々会員向けの限定コンテンツも更新中。
2016年に結成された、
台湾出身のVo.MikanとGt.Kaiakiによるロックバンド。
日本語で描く独自の世界観を持つ歌詞とジャンルを問わないサウンドが融合した楽曲たちが魅力。
行 達也
株式会社SKIYAKI、 Our Favorite City 編集スタッフ
台湾インディーズは初心者ですが、夜市には行ったことあります。もっと食べたいです。