【おしえてパイセン!】原田茶飯事インタビュー

Our Favorite City ニッポン × タイワン オンガクカクメイ

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この日本×台湾プロジェクトでは、実際に台湾のアーティストと交流を持たれたり、現地でライヴを実施している日本のアーティストも紹介していきます。今回、お話を聴かせてもらったのはシンガーソングライターの原田茶飯事(はらださはんじ)さんです。茶飯事さんは元々クリームチーズオブサンというバンドのメインボーカルで、バンド自体は2008年に解散してしまったんですが、個人的にすごく思い入れのあったバンドだったので、そのお知らせを聞いた時に愕然としたのは割と覚えています。ただ、メンバーの個性がとても強いバンドだったので、さもありなんというか、実際、解散後もメンバーがそれぞれのフィールドでご活躍をされています。その中でも茶飯事さんは、ソロで活動を開始されて早々から全国をギター1本でツアーするなど、かなり精力的に動いてきました。そして、その活動の幅は日本だけに留まらず台湾まで触手を伸ばすようになりました。今回、なぜ台湾でライヴをするようになったのか?などきっかけから現地での反応まで、いろいろとお話を聴かせていただきました。

クリームチーズオブサン「マーブルビーチ」


ーーーソロの活動としては今までどういう感じでやってきたんですか?

原田:2009年からソロ活動は始めると同時に大阪から東京に出てきました。当初はいろんな方にバックを手伝ってもらいながら、あくまでバンドではなくソロ+サポートメンバーというカタチで活動をしていました。それでいろんなライヴハウスに出演してる中で観てくれたお客さんがたまたまフェスの主催者だったりっていうことが立て続けにあって、りんご音楽祭とかTOYOTA ROCK FESTIVALなどいろんなフェスにも呼んだりしてもらえるようになりました。あと、去年コロナで中止になりましたが森、道、市場に呼んでもらえたのも嬉しかったですね。そういうライヴやりながら1年に1枚、アルバムが出せればいいなあと思いながらやってたんですが、最近は2年とか3年に1枚のペースになってしまいました。それでも、おかげさまでずっと自主でちゃんとリリースさせてもらっています。あとDJ Yogurtさんが関西の歌モノにハマってた時期があって、奇妙礼太郎くんの後に、ボクの音楽にも興味持ってくれてボクの「太陽」という曲をリミックスしてくれて、それでA面はオリジナル、B面はDJ Yogurt & KoyasリミックスっていうカタチでJET SETからリリースしてもらったんです。



ーーーなるほど、そうやってライヴとリリースを続けてるワケですね。それにしても今やCD買う人がずいぶん減ってると思うんですが、配信だけじゃなくてCDも作ってるんですか?

原田:ツアーであちこちを周ることを生業としていて、コロナ前だと年間100〜200本とか全国でツアーしてたんです。その流れで台湾にも行ったりしてたんですけどね。で、まあ全国回ってると、普通にCDショップが無い街とかあるので、そういうところにはCD持って行く必要があって、結局お客さんがライヴに行った記念みたいな感覚で買ってくれるんです。もはやCDプレイヤー持ってないから聴けないんですけど、っていう方もたまにいらっしゃいます(笑)。

ーーーじゃあ、そのツアーで周ってる中で台湾に行こうってなったきっかけは何だったんですか?

原田:東京にある月見ル君想フっていうライヴハウスの店長の寺尾ブッダさんが、泰山に遊ぶっていうバンドをやってた時にライヴで共演したりしてたんですが、彼が台湾にも店を出すタイミングで「茶飯事くん、台湾に興味ある?」って誘ってくれたのがきっかけだったんです。僕が2017年に『MILD』っていうアルバムを出したぐらいで、台湾でシティーポップが流行ってたんですが「茶飯事くんの音楽シティーポップっぽいからウケるんじゃない?」とか言われて(笑)

ーーー茶飯事さんってシティーポップだったっけ?(笑)

原田:音の質感とか、まあ大きい括りでね。テンションコード使ってるし(笑)


台湾のマルシェイベントhave A nice Festivalに出演



ーーーじゃあ、ライヴをする前段階で台湾の店で茶飯事さんのCDを販売してくれてたんですか?

原田:いや、販売はなかったんですけどお客さんが割と事前にYouTubeで音源を聴いててくれたんですよ。で、そこから何度か行かせてもらうようになって、手応えを感じ始めた頃にブッダさんから「茶飯事くん、カセットテープでベストアルバムを出そう!」っていう提案があって、日本ででも出してないのに(笑)。ブッダさん的にはCDやレコードでもいいんだけど、カセットっていう文化を広めたいっていう思いがあったみたい。レコードショップじゃなくて服屋とか雑貨屋とか、そういうオシャレなアイテムとして。聴いてもらうのと、あと飾っといてもらえたら的な。もちろんダウンロードコードも付けてね。



ーーーやっぱり台湾に何回かライヴに行ったことでお客さんが付いてきた感じ?

原田:その実感は少しありますね。以前にKUMA TRIBEっていう台湾の若手で人気のあるアーティストが一同に集まる野外フェスがあったんですけど、それに出させてもらったんです。日本にもよく来てるSKIP SKIP BEN BENとかも出てたんですけど。それも現地の人に知ってもらう大きなきっかけになったと思います。



ーーーフェスだと不特定多数の人に見てもらうチャンスがあるから良いですね。

原田:そうですね。コロナ前だと年に4〜5回ぐらいは行ってて、1回行くとだいたい4〜5日ぐらい滞在して、いろんなところでライヴさせてもらうので、そう考えたら結構、台湾にいてる期間は長いですよね。

ーーー台湾でライヴをやる時は向こうのライヴハウスの人と直接ギャラ交渉とかやり取りするの?

原田:いや、自分で直接、交渉したことはないです。ブッダさんのお店だったり、あとリボルバーっていうライヴハウスがあるんですが、そこは長野でやってるりんご音楽祭の台湾予選の会場なんですね。その絡みで行くと日本語でいけたりするんで、どうにかクリアさせてもらってる感じです。で、割といろんな方から「台湾でライヴやらないか?」と誘われた時期があったんですけど、それはしょっちゅうやってたっていうことが大きかったと思います。

ーーーそのときに言葉の壁とかなかったんですか?

原田:雰囲気というかノリ一発で(笑) なんとかなりました!

ーーーノリ一発て!!(笑) それで言葉は通じないでしょう?

原田:現地に日本語がわかる台湾人の友達がいて、だいぶ助けてもらいましたけどね(笑)だからライヴのMCも日本語と英語と中国語を混ぜこぜにした感じの。英語も中国語もロクに話せなかったけど、それでもウケてましたからね!(笑)

ーーーそれは話芸以外の何かがツボに入ったんじゃなくて?(笑)

原田:え、顔で笑われてたんかな...笑

ーーーではないと思うけど(笑)ちなみに現地のアーティストと仲良くなったりしないのですか?

原田:透明雑誌のボーカル、洪申豪(モンキー)がソロ作品をリリースしたタイミングで来日ツアーしたんですが、そのとき僕が一緒に回ったんですよ。ツーマンで何箇所かやりました。他に原住民のS.S.W.のバライ(巴頼)とか仲良くなりました。

[MV] 真夜中のブルース / 洪申豪(hom shen hao)



ーーーちょっと話は逸れるけど、茶飯事さんの音楽ってブラジルっぽかったりするから、台湾の原住民の音楽と相性良さそうって思ってます。もしかしたら台湾のほうが人気あったりして。っていうのが、台湾だと日本での評価軸ありきという感じがしないというか、音楽的に聴かれているというか...もちろんシーンにもよると思いますが。

原田:そこまで極端に差があると思っていませんがね(笑)あと行けなくなってずいぶん経つので、今、どれだけの人が待ってくれてるんだろうか?っていうのはありますけどね、正直。

ーーー確かにコロナによって向こうでの活動が難しくなってるけど、単に「台湾にわざわざライヴやりに来てくれてるから」っていうだけでは聴いてくれないと思ってて、当然、原田茶飯事の音楽に惹かれてライヴを観に来てるワケなので、そこはそんなに心配しなくてもいいのかなと思いますけどね。しかし台湾のポップスは裾野が広いと思います。もしかしたら日本より音楽の多様性は認められてるのかなって。

原田:ライヴで演奏してて「あ、このお客さん、前回も来てくれてたわ」っていうのありますけどね。それはしょっちゅうやってるっていうことで加点されてるとは思いますけど、他に来てる日本のミュージシャンもみんな思ってると思います(笑) ミュージシャンをダメにするお客さんがいてる(笑)

ーーーはははっ

自分が凄く売れてるみたいに勘違いしそうになります…。あと僕のライブに来てくれるお客さんってハデなリアクションこそないんですけど、めちゃ真剣に聴いてくれてて、曲終わった後の拍手も音が大きいんですよ。

ーーーああ、でもライブのリアクションってお国柄とかもあるしね。フィンランドのヘビメタのお客さんってぜんぜん動かないで、腕組んで立ち尽くしてるみたい(笑)ヘドバンとかしないらしい。でも、実は喜んで聴いてるんだって。

原田:ミュージシャンはハート鍛えられそう(笑)

ーーー本当に。めっちゃやりづらそう(笑)

原田:シュール(笑)

原田茶飯事バンド/太陽~ぼくは天使きみは悪魔

ーーー台湾でライヴやる場合、だいたいは台北?

原田:そうですね。一番多いのは台北ですけど、台南とか、さらに南の方でもやったことあります。

ーーーそんな果てでやってもお客さんって来てくれるんですか?

原田:その時はゲストハウスだったんだけど、お店の人がお客さんを集めてくれてて、で、投げ銭みたいなシステムでやらせてもらったことありますよ!


THE WALLでのメンバー。橇-soli-という名義でアルバム録音中。(もうすぐ完成予定!)



ーーーでも台湾でツアーするとなると費用的にそれなりにかかるんじゃないですか?物価は日本よりちょっと安いのかな?

原田:少し安いですね。一応、赤字にならないように毎回気をつけてて、例えば宿とかも友達の家に泊めさせてもらったりして、できるだけお金のかからないように現地の人が配慮してくれてるんです。で、黒字の分を次の台湾公演用にプールしとくんです。儲かった分でやりくりするっていう。

ーーー儲けっていうのはチケットの上がりとか会場の物販とか?

原田:そうです、日本より安くして。台湾だとアルバム1枚1500円ぐらいで売ってる感じなので、それに合わせるようにしてます。

ーーーみんな買ってくれるんですか?

原田:結構買ってくれるんですよ。Tシャツとかも。

ーーーへえー。向こうで苦労したことってありますか?

原田:そうですねえ...実はありがたいことに毎回アテンドしてくれる人がいるおかげで、本当についていくだけみたいな感じになってて、ほとんど苦労したことないんです。こっちから「行かせてください」っていうんじゃなくて、あくまでも呼んでもらうっていう立場だったのが大きいとは思います。あと、台湾で日本語話せる人がめちゃくちゃ多いっていうのも大きいと思います。

ーーーでは、最後に茶飯事さんにとって台湾の魅力とは?

原田:人ですかね。賢さとやさしさを感じる人柄です。たまたま運が良くてそういう人たちと出会えただけかもしれませんが…



原田茶飯事 - 「終末のドライブ」PV

<原田茶飯事プロフィール>


1979年5月2日生まれ、 大阪出身、2009年から東京在住。芸名に水が絡むと運気があがるとのことで原田茶飯事(はらださはんじ)と名乗る。世界中の音楽の洒落っ気、茶目っ気を掬い取って気づけば40代、丁度よく灰汁も入った今良い旨味が出てきている。

https://www.instagram.com/haradasahanji/


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